サメや海の生き物を研究したいなら、大学名より先に「その生き物の何を知りたいか」を考えてみましょう。興味に合う授業、学部生が参加できる研究、実習の条件を比べると、国内大学と海外大学の選び方が具体的になります。
大学選びで押さえたい4つのこと
- 同じサメへの興味でも、行動・体の仕組み・遺伝・保全では、研究の問いが変わる。
- 海洋生物学では、生物に加えて化学・物理・数学・データを扱う基礎も大切になる。
- 大学に研究施設があることと、希望する研究に学部生として参加できることは分けて確認する。
- 国内大学と米国のMarine Biologyを、授業・研究参加・費用の同じ項目で比較する。
「水族館でサメを見るのが好き」「海の生き物のことを、もっと深く知りたい」。その興味は、進路を考える出発点になります。ここでは高校生・保護者の方に向けて、研究したいことの見つけ方と、大学の資料を読むポイントを整理します。国内の例と、TEAM Sugiの紹介校Nova Southeastern University(NSU)の学士課程も紹介します。
1.「サメが好き」を、調べてみたい問いに変えてみる
「サメを研究できる大学」という探し方だけでは、候補を絞りにくいことがあります。同じ生き物でも、移動を調べる研究と、体の働きや遺伝情報を調べる研究では、使う方法が異なるからです。
まずは、好きな生き物について不思議に思うことを一つ書いてみてください。今すぐ専門的な研究計画を作る必要はありません。「どんな方法で答えを探すのだろう」と考えることが、授業を読む手がかりになります。
| 気になること | 問いの例 | 関連する学び・方法 |
|---|---|---|
| サメの移動 | 問い季節や水温によって、いる場所は変わるのか | 学び生態学、海洋環境、位置情報や観測データの整理 |
| 食べ方や体の仕組み | 問い種類や成長段階によって、食べるものはどう違うのか | 学び動物の体の働き、行動、食物網、観察や実験 |
| 海の生き物の保全 | 問いすむ場所が変わると、個体数や繁殖にどんな変化があるのか | 学び生態学、環境科学、集団の比較、統計 |
| 種類や集団の違い | 問い離れた海にすむ集団は、どれくらい近い関係なのか | 学び遺伝学、進化、分子生物学、データ分析 |
この表は、学校選びのために興味を整理する例です。特定の大学で、すべてのテーマを研究できるという意味ではありません。
問いを一つに決めきれない場合は、「行動と保全の両方が気になる」でも十分です。大学で基礎を学びながら、関心が変わることも含めて考えましょう。
2.海の生き物を学ぶために、生物以外の基礎も見る
研究は、生き物を見つけたり観察したりする場面だけではありません。何を測るかを考え、記録を整理し、結果が何を示すかを説明する過程も含みます。好きな動物の名前が付いた授業に加えて、その土台となる科目を確認してください。
- 生物:体の仕組み、遺伝、生物どうしの関係などを理解する。
- 化学・物理:生き物の体内や、周囲の水・光・温度などを考える基礎を身に付ける。
- 数学・統計:数値を比べ、ばらつきや関係を検討する。
- 文章・英語:資料を読み、自分の方法や結果を相手に伝える。
例えばNSUのMarine Biologyでは、一般生態学や遺伝学に加え、化学、物理、応用統計、微積分が基礎科目に含まれています。「海の生き物が好きだから、生物だけを学ぶ」と想像せず、入学後の科目を見て準備することが大切です。
出典:NSU 2026–2027 Undergraduate Catalog・Marine Biology(冊子286–287ページ)。具体的な履修は入学年度に適用される課程で確認します。
数学や化学に苦手意識があっても、それだけで興味を諦める必要はありません。高校でどの内容を復習するとよいか、大学に補習や学習支援があるかを調べてみましょう。入試で必要な科目と、入学後に学ぶ科目は、両方を確認します。
3.大学の資料は「授業→研究室→実習」の順に読む
研究施設の写真やニュースは、大学の強みを知る材料になります。ただし、高校卒業後の進学先を選ぶときは、まず学士課程の授業を確認し、その先でどの研究に関われるかを調べると整理しやすくなります。
| 確認するもの | 具体的に聞きたいこと |
|---|---|
| 授業・シラバス | 質問気になる科目は必修か選択か。何年次に学び、履修前に必要な科目は何か |
| 研究室・教員 | 質問今どんな生き物・問い・方法を扱っているか。学部生のテーマ例はあるか |
| 研究への参加 | 質問何年次から参加できるか。成績・履修・定員・教員の受入れなどの条件はあるか |
| 実習・施設 | 質問どの授業で何をするか。学部生が使える設備、移動方法、追加費用はどうか |
| 卒業までの成果 | 質問卒業研究や論文・発表はどのように行うか。指導や講評を受ける機会はあるか |
「サメの研究をする先生がいる」ことが分かっても、希望する年度にその先生が学部生を受け入れるかは、別の確認が必要です。また、研究ニュースに登場する学生が学部生なのか、修士・博士課程の大学院生なのかも見てください。
海上実習や潜水を伴う活動に関心がある場合は、実施時期、履修の前提、必要な講習・資格、健康面の条件、費用を確認します。施設があることだけで、自分がそこで毎週活動できると判断しないことが大切です。
4.国内大学の例:東海大学の海洋生物学科
国内にも、海の生き物と環境を学べる大学があります。例として、東海大学海洋学部海洋生物学科は、水圏生物科学と水圏保全科学の二つの科目群を掲げています。動物の行動や体の働きに関心がある人も、生息環境や保全に関心がある人も、授業を調べる手がかりになります。
公式の学びの流れでは、初年次の基礎・実習から、魚類などの専門科目、実験・調査へと進み、4年次には研究室で卒業研究に取り組む過程が示されています。研究の結果を論文にまとめ、発表することも案内されています。
出典:東海大学・海洋生物学科、4年間の学びの流れ。
ここから一歩進めるなら、教員紹介や卒業研究の例を見て、自分の問いに近い研究室を探してみましょう。研究室への配属方法や希望テーマの扱いは、大学へ確認します。
これは学びを比較するための一例で、国内大学の順位付けやTEAM Sugiの提携校紹介ではありません。「海外でなければ海洋生物を研究できない」と考えず、国内の学科も同じ項目で比較してください。
5.米国の例:NSUのB.S. in Marine Biology
英語で海洋生物学を学ぶ選択肢として、フロリダ州のNova Southeastern University(ノバ・サウスイースタン大学、NSU)があります。高校卒業後の進学候補として確認したいのは、B.S. in Marine Biologyという学士課程です。
同大学には海洋関連の大学院課程もありますが、学士課程とは区別して比較します。例えばM.S. in Marine Scienceは修士課程です。研究センターや大学院の紹介を読むときも、それが学部の授業・制度を説明しているのかを確かめましょう。
出典:NSU・B.S. in Marine Biology、海洋分野の学位課程一覧。
サメの科目と、幅広い海洋生物の学びがある
NSUの2026–2027年度カタログでは、海洋生物学や海洋学の実験を含む基礎のほか、選択科目にSharks and Their Relatives、魚類やサンゴ礁を扱う科目などが掲載されています。サメへの興味を入口にしながら、ほかの生き物や環境との関係も学べるかを確認できます。
出典:NSU 2026–2027 Undergraduate Catalog・Marine Biologyの科目一覧(冊子287ページ)。科目の掲載は、希望する学期の開講や履修を保証するものではありません。
研究施設と、学部生が参加するための手続きを分ける
NSUの学士課程の案内では、Oceanographic CampusにGuy Harvey Oceanographic Research Centerやマリーナがあること、教員・大学院生と関わる研究機会が紹介されています。海の近くで学ぶ環境に魅力を感じる人には、具体的な授業や研究参加について調べたい大学の一つです。
一方、NSUの学部研究案内は、研究プロジェクトへの参加には競争があり、受入れ枠が限られると説明しています。教員に受入れの有無を尋ねる、募集情報から応募する、といった手順が案内されており、入学すれば希望するサメ研究に必ず参加できる仕組みではありません。
出典:NSU Office of Undergraduate Research・研究参加の案内。希望する研究の前提科目、募集時期、学部生の担当範囲は個別に確認します。
留学を検討する場合は、授業や実験を英語で学ぶ準備に加え、成績、出願条件、費用、住まい、授業・実習場所への移動も確認しましょう。学校全体の情報は、TEAM SugiのNSU紹介ページにまとめています。
6.研究者と水族館の飼育の仕事は、何が違う?
「海の生き物に関わる仕事」を考えるときは、研究したいのか、毎日の飼育に携わりたいのか、展示や教育にも関心があるのかを分けてみると、調べる内容が具体的になります。ただし、これらは完全に別々の仕事ではありません。
海遊館の仕事紹介では、飼育の業務として日々の餌の準備・給餌や清掃、健康管理、行動の記録、来館者への解説・展示などが説明されています。生き物を近くで見る魅力に加えて、継続して環境を整える仕事にも目を向けてみましょう。
出典:海遊館・仕事一覧。
一方、研究に関心がある人は、問いを立て、データを集めて検討し、成果を伝える経験をどの段階で積めるかを調べます。大学院まで学ぶ進路も含め、希望する仕事に必要な学位や経験を確認してください。NSUも、Marine Biology卒業後の選択肢として修士・博士課程への進学を紹介しています。
参考:NSU・Marine Biologyの卒業後の進路案内。
水族館でも研究は行われています。海遊館は大学等と連携したジンベエザメの行動調査や飼育下での研究を公表しています。「飼育員は研究をしない」と分けるのではなく、自分が中心に取り組みたい仕事を考えることが大切です。
出典:海遊館・調査と研究の取り組み。
就職に必要な学歴・経験・資格は、機関や職種、募集年度で確認します。海洋生物学の学位を取ることと、研究職や水族館への採用は別です。学校の就職先一覧を見るときも、どの職種の実績なのか、進学者の情報なのかを確かめましょう。
7.候補校を2校並べて、自分の問いから比較する
国内と米国の候補を比べる際も、国の印象だけで決めず、同じ項目を一つずつ埋めてみましょう。授業名の日本語と英語が違っていても、授業説明を読めば、扱うテーマや方法の共通点を探せます。
大学・学科・学位の正式名称:[記入] 好きな生き物と、調べてみたい問い:[記入] 関連する授業:[必修・選択/学年/履修前提] 気になる研究室:[教員/現在のテーマ/研究方法] 学部生の研究参加:[時期/選考・条件/未確認事項] 実習と設備:[使う授業/場所/追加費用] 卒業までに取り組むこと:[論文・発表等] 入学準備:[必要科目/成績/英語等] 期間と総費用:[授業料/住居・食費/実習・移動等] 卒業後に考えたい進路:[就職/大学院/まだ未定] 次に学校へ聞く質問:[記入]
資料にない項目は「未確認」として残して構いません。例えば「サメの科目はあるが、学部研究への参加条件は分からない」と整理できれば、次に学校へ聞くことが明確になります。
高校生のうちにできる、小さな調べもの
大学や水族館の研究紹介から、気になる記事を一つ選び、「何を知りたかったのか」「何を測ったのか」「何が分かり、何が残っているのか」を短くまとめてみてください。難しい専門用語をすべて理解するより、問いと方法のつながりに注目する練習になります。
水族館を訪れる場合も、気になった行動と解説から分かったことを分けてメモすると、見ただけでは答えられない問いに気付けます。これは入学選考で求められる実績の指定ではなく、自分が学びたいことを見つけるための提案です。
海洋生物学を米国で学ぶ進路も、比較したい方へ
TEAM Sugiでは、紹介校への進学を検討する方に、希望専攻、英語力・成績、予算、進学時期から学校選びと出願準備を整理します。「サメの行動が気になる」「海の環境も学びたい」など、今の関心から相談できます。
希望する研究室・実習への参加条件は、大学への個別確認が必要です。
海洋生物学の大学選びでよくある質問
サメを研究したいなら、海洋生物学科だけを探せばよいですか?
まずは研究したい問いから探してみましょう。生き物の行動、遺伝、環境との関係などで、関連する学びは変わります。学科名に加えて、授業、教員の研究テーマ、学部生が取り組める内容を確認してください。
数学や化学が苦手でも、海洋生物学を目指せますか?
進学先の選考条件と、入学後の科目を確認して準備しましょう。NSUの例では化学・物理・統計・微積分も基礎に含まれます。苦手な内容の復習や学習支援について調べ、学び続けられる計画を立てることが大切です。
NSUに入学すれば、必ずサメの研究に参加できますか?
希望する研究への参加が保証されるわけではありません。NSUは学部生向けの研究機会を案内していますが、受入れ枠に限りがあり、選考を伴うと説明しています。教員の受入れ状況、前提科目、募集時期などを確認します。
海洋生物学を学ぶと、水族館の飼育員になれますか?
関連する知識を学ぶ進路の一つですが、学位の取得だけで採用が決まるわけではありません。飼育・展示・教育・研究など、希望する職種を整理し、募集要項で必要な学歴や経験を確認してください。
情報確認:2026年10月28日。授業・研究体制・開講状況・参加条件は変更される場合があります。掲載校は比較のための例で、順位付けではありません。研究の問いと比較メモは、学校選びのための提案です。
